計画があれば、有事に迷わない。

最終更新:2026年6月

「何から手をつけるか」を災害の最中に考えるのは困難です。あらかじめ計画を作っておけば、発災直後から「次に何をするか」が明確になり、復旧のスピードが大きく変わります。

このページでは、まず取り組みやすい「事業継続力強化計画」から始め、より本格的な「BCP(事業継続計画)」へステップアップする流れで解説します。

Step 1 事業継続力強化計画 まずはここから
Step 2 BCP(事業継続計画) ステップアップ

Step 1:事業継続力強化計画(ジギョケイ)

2019年の中小企業強靱化法で創設された制度です。中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災の取り組みを簡易な様式で計画にまとめ、経済産業大臣の認定を受けるものです。

BCPとの違い

事業継続力強化計画BCP
目的防災・減災の取り組みを計画する事業を継続・早期復旧するための計画
策定の難易度比較的容易(A4数枚程度)本格的(数十ページ以上になることも)
認定制度あり(経済産業大臣認定)なし(自社の計画)
策定にかかる期間数日〜数週間数週間〜数ヶ月
対象中小企業・小規模事業者企業規模を問わない

認定を受けるメリット

  • ものづくり補助金等の加点——各種補助金の審査で優遇される。
  • 日本政策金融公庫の低利融資——設備投資に対する特別利率が適用される。
  • 信用保証枠の追加——信用保証協会の別枠が利用可能になる。
  • 防災・減災設備の税制優遇——特定の設備について特別償却(20%)が適用される。
  • 企業の信頼性向上——認定ロゴマークを使用でき、取引先への信頼性をアピールできる。

計画に記載すること

  1. 事業概要——自社の事業内容と経営資源を整理する。
  2. リスクの認識——ハザードマップ等で自社が受ける自然災害リスクを確認する。
  3. 初動対応——人命の安全確保、安否確認、被害状況の把握の方法を決める。
  4. ヒト・モノ・カネ・情報への対策——各経営資源への事前の対策を記載する。
  5. 平時の推進体制——計画を誰が推進し、どう見直すかを決める。

申請の流れ

①計画を策定 → ②経済産業局に申請(電子申請可) → ③認定(通常45日以内) → ④認定後は毎年の実施状況報告。申請は無料。商工会議所・商工会や、よろず支援拠点で策定支援を受けられる。

Step 2:BCP(事業継続計画)へのステップアップ

事業継続力強化計画が「自社を守る」計画であるのに対し、BCPは「事業を止めない・早く再開する」ための、より具体的で実践的な計画です。

事業継続力強化計画で防災・減災の基盤を作ったら、BCPでさらに踏み込んだ計画を立てましょう。

BCPの基本的な考え方

BCPは、災害時にすべての業務を同時に復旧するのではなく、優先すべき業務(中核事業)から先に復旧するという考え方に基づいています。

中核事業とは

「これが止まると、会社の存続に関わる」という業務のこと。売上の大部分を占める製品の製造、主要な取引先への納品、法的に止められないサービスなどが該当する。

BCPで決めること

  1. 中核事業の特定

    自社の事業のうち、最優先で復旧すべきものを決める。「売上への影響」「取引先・顧客への影響」「法的義務」の観点で判断する。

  2. 目標復旧時間(RTO)の設定

    中核事業を「いつまでに復旧させるか」を決める。取引先との契約や、資金が持つ期間から逆算する。

  3. ボトルネックの洗い出し

    中核事業の復旧を妨げる要因(特定の設備、人員、仕入先、ITシステム等)を特定する。

  4. 事前対策の計画

    ボトルネックへの対策を立てる。代替手段の確保、在庫の積み増し、バックアップ体制の構築など。

  5. 発動基準と初動対応

    BCPを「いつ・誰が発動するか」を明確にする。発動後の指揮命令系統、安否確認、被害確認の手順を定める。

  6. 復旧手順

    中核事業を復旧させるための具体的な手順。代替拠点での業務開始、仕入先の切り替え、応急的な生産体制など。

策定のポイント

  • 完璧を目指さない——最初から100点の計画は不要。まず簡易な形で作り、訓練と見直しで改善していく。
  • 経営者が主導する——BCPは現場任せにせず、経営者が意思決定に関わることが重要。復旧の優先順位を決められるのは経営者だけ。
  • 取引先との連携を考える——自社だけでなく、主要な仕入先・販売先のBCP状況も確認する。サプライチェーン全体の継続性が重要。
  • 定期的に見直す——事業内容、取引先、設備が変わればBCPも変わる。年1回は見直し、訓練で実効性を検証する。

支援を活用する

計画の策定は、一人で抱え込む必要はありません。無料で相談できる窓口があります。

  • 商工会議所・商工会——地域の商工会議所で事業継続力強化計画の策定支援を受けられる。
  • よろず支援拠点——各都道府県に設置された無料の経営相談所。BCP策定のアドバイスも対応。
  • 中小企業基盤整備機構——BCP策定に関するセミナーや専門家派遣を実施。
  • 自治体の支援制度——BCP策定費用の補助金を設けている自治体もある。「○○市 BCP 補助金」で検索。

次のステップ

本ページは制度・計画策定の概要を示すものです。認定要件や優遇措置の詳細は変更される場合があります。 申請にあたっては、中小企業庁の最新情報や管轄の経済産業局にご確認ください。