計画は、試さなければ動かない。

最終更新:2026年6月

BCPや防災マニュアルを作っても、いざというとき従業員が動けなければ意味がありません。「知っている」と「できる」の差は、訓練でしか埋まりません。

大がかりな訓練でなくても構いません。まずは短時間の訓練から始めて、少しずつ範囲を広げていくことが大切です。

訓練の種類と進め方

自社の段階に応じて、取り組みやすいものから始めましょう。

段階訓練の内容所要時間頻度の目安
Step 1
まずはここから
避難訓練
避難経路の確認、集合場所への移動、点呼
15〜30分 年2回以上
Step 2
連絡を試す
安否確認訓練
安否確認ツール・SNS・171での報告テスト
10〜15分 年2回
Step 3
判断を試す
机上訓練(図上演習)
災害シナリオに沿って対応を話し合う
1〜2時間 年1回以上
Step 4
本番に近づける
BCP発動シミュレーション
実際にBCPを発動し、代替拠点での業務を試す
半日〜1日 年1回

Step 1:避難訓練

最も基本的で、すぐ始められる訓練です。消防法で義務づけられている事業所も多く、これだけは必ず実施しましょう。

やり方

  • 地震発生の合図(放送・サイレン)で、まず身を守る行動(机の下に潜る等)を取る。
  • 揺れが収まった想定で、決められた避難経路を通って集合場所へ移動する。
  • 集合場所で点呼を取り、全員の安否を確認する。
  • 終了後、問題点を話し合う(経路の障害物、点呼に時間がかかった、など)。

形だけの避難訓練にしないために

「予告なし」「夜間想定」「エレベーター停止想定」「一部の経路が使えない想定」など、毎回少し条件を変えると、本番に近い判断力が身につきます。

Step 2:安否確認訓練

災害直後に「全員無事か」を素早く把握するための訓練です。

やり方

  • 抜き打ちで安否確認メール・SMSを送信し、返信率と所要時間を計測する。
  • 災害用伝言ダイヤル(171)の体験利用を行う(毎月1日・15日に利用可能)。
  • 連絡がつかない場合のエスカレーション手順(家族への連絡、安否不明者リストの作成)を試す。

Step 3:机上訓練(図上演習)

実際に体を動かさなくても、「考える訓練」で判断力を鍛えられます。少人数でもできるため、中小企業に特に向いています。

やり方

  1. シナリオを設定する――「平日14時に震度6強の地震が発生。停電・断水。電話は輻輳で繋がりにくい」など。
  2. 時間軸に沿って対応を確認する――「発災直後(0〜1時間)→当日中→翌日以降」で、誰が何をするかをBCPに照らして話し合う。
  3. 判断が分かれるポイントを議論する――「工場の安全確認は誰が行くか」「取引先への連絡はいつ・誰がするか」など。
  4. BCPの修正点を洗い出す――訓練で見つかった抜け漏れを計画に反映する。

シナリオ例

自社のハザードに合わせたシナリオを使うと効果的です。地域のハザードを知るで確認した想定震度・浸水深を元にシナリオを作ると、リアリティが増します。

Step 4:BCP発動シミュレーション

最も本格的な訓練です。BCPを策定済みの企業が、計画の実効性を検証するために行います。

やり方

  • BCP発動の判断を実際にシミュレーションする(発動基準に達したかの確認→発動宣言)。
  • 代替拠点・リモートワークでの業務を実際に試す。VPN接続、クラウドツールへのアクセス、電話転送などを確認。
  • 優先業務の遂行を試す。BCPで定めた「最優先で復旧する業務」を、限られたリソースで実際に回してみる。
  • 取引先への連絡を模擬的に行う(事前に了承を得た上で)。

訓練を続けるコツ

  • 短時間でいい――15分の避難訓練でも、やらないよりはるかに効果がある。
  • 毎回テーマを1つに絞る――「今回は安否確認だけ」「今回は初動対応だけ」と範囲を限定する。
  • 振り返りを必ず行う――訓練後に5分でも振り返りの時間を取り、改善点を記録する。
  • 防災の日(9/1)や会社の記念日に合わせる――年間行事に組み込めば、忘れずに実施できる。

次のステップ

出典・参照先

本ページは一般的な訓練内容の概要です。業種・規模・立地により必要な訓練は異なります。 消防法で定められた訓練義務については、所轄の消防署にご確認ください。